感謝




黒い手袋と
緑のコート

どちらも、バジルには大きいのだけれど

一丁前に(というにはあまりに不恰好ではあるのだが)身に付けて、バジルは公園のベンチに座っていた。


膝の上には、まだ暖かい紅茶。
手袋ごしにも伝わる温もりに、頬が緩む。



今日は、とても寒い日で。

ここは、木枯らしの吹く公園。

待ち合わせをした家光は、まだ着かないと連絡があった。





それでもバジルはつい、頬が緩んでしまうのだ。




黒い手袋は、長髪の剣士が貸してくれた。
曰く、指先が悴むのはいざと言う時に生死を左右する。だそうで。

散々人を馬鹿にして、もう少しそういう事にも気を配れを説教を垂れ、最後にはまた口汚く人を罵りながら、バジルの手には大きな手袋を、人形にはめるようにして貸してくれた。



緑のコートは、心優しい頼れるボスが貸してくれた。
偶々前の道を車で通りかかった彼は、驚いて車を止めて。
つめたくなった鼻の頭をつついて、困ったように眉を顰めた。

それから、家光が来るまで動かないというバジルに、いつものコートを被せてくれた。
大きいな、と笑って。自分は車だから、と言いながら暖かい紅茶も買ってくれた。


とても寒い風が、さっきから何度もバジルをかすめるのだけれど

その度に、風の当たらない部分に二人の優しさを思い出して、にやけてしまう。


一丁前な口を利くし
一人前に働くけれど

バジルはまだ、子供で。

こんな風に守ってくれる人がいることが、何だかはにかんでしまうけれど、嬉しい。



それから、すまん!と、謝りながらかけてきた家光に
その凍えた身体を、ぎゅっと抱き締められて。

何だか今日は、誰も彼もが自分を子供扱いするものだから
バジルはおかしくて、嬉しくて、小さく笑った。


こんな自分を気に掛けてくれる優しい人がいることの幸せを、じんわり噛み締めながら。