夏バテ

おろおろ。
そのような擬態語が似合いそうな表情のバジル。
バジルはとても困っていた。
理由は、
今まで顔色ひとつ変えたことのなかった
鬼の風紀委員長、
雲雀恭弥が倒れてしまったからだ。
倒れた、
という表現は若干乱暴かもしれない。
昨日
「食欲がない」
という知らせを受けて、
バジルが心配して今日様子を見にきたら
雲雀が縁側でぐったりしていたのだ。
「どこか悪いのでしょうか…、
お医者様に診てもらったほうが…、」
雲雀の額の汗を拭きながら
バジルは心配げに顔を曇らせる。
しかし雲雀は、
何のことはない、
というふうに
「ただの夏バテだから心配しないで。」
と言った。
夏バテ…。
バジルにとっては新出単語である。
夏、バテ。
意味は訊かずとも何となく語感で察した。
要するに、
暑さにあてられたのだろう。
ならば、と、
バジルは雲雀の頭を膝の上に乗せ、
手にしていた手巾で雲雀を扇いだ。
「少しは涼しくなりましたか、雲雀殿、」
扇がれた雲雀は、
少し可笑しくなった。
夏バテは涼しくなれば治るというものでもないのだけれども…。
しかし、
初めての膝枕に、
大いに満足して
「そうだね、気持ちいいよ。」
と応じるのであった。
夏バテするのも悪くない。