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「沢田殿、
拙者、
しゃぶしゃぶというものを
食べてみたいです、」
薄青色の眸を
キラッキラに輝かせながら
バジル少年は沢田少年に詰め寄った。
其の姿はまるで主人を見詰る忠実な番犬のようで
視線を一身に浴びる沢田綱吉は
少し困りながらも
バジル少年を可愛いなぁと思う。
「しゃぶしゃぶかぁ…。
オレあんま金持ってないから
食べ放題の店でいいかな、」
でれでれする沢田に
バジルは見えない尻尾フル回転で
「ありがとうございますっ、」
と甘えた。

というわけで、
一番近い繁華街で
学生たちがよく利用するしゃぶしゃぶ食べ放題の店に向かう二人。
家を出るまでが大変で、
ランボが付いて来たがるし
(どこからともなくやってきた)獄寺君がお供しますとうるさいし
奈々に小遣いをもらうときに軽く愚痴られるし
とにかく何もかもを振り切って家を出たのだが
一番意味がわからなかったのが
バジル君がビアンキに借りた
ミニスカートを穿いて出てきたことだった。
沢田は一瞬クエスチョンマークでいっぱいになったが
可愛いからいいか、
という
鼻の下を伸ばした思考回路で
その辺、
流した。

安さが売りの食べ放題店に到着し、
順番を待つこと30分。
やっとのことで店内に案内された二人は
健康優良児らしく
牛肉コースをセレクトし、
お湯が沸くのを待った。
「これがしゃぶしゃぶなんですね、」
「うん、お肉をこのお湯にくぐらせて
軽く火が通ったら
たれをつけて食べるの。」
美脚の可愛い恋人を横に、
かなりの優越感に浸る沢田綱吉。
可愛いだろ、
オレの彼女
可愛いだろ。
厳密には彼氏…、
というのだろうが
バジル君は可愛いので彼女でいいだろう、
という単純な沢田。
あまりにでれでれしすぎて、
手元を狂わせて
おしぼりを床に落としてしまった。
「あ…、
代わりを持ってきてもらわなきゃ、」
「拙者拾います。」
「いいよバジル君、
店員さんが拾ってくれる…
っておーーーーーーーいっ、」
目玉が飛び出るほど驚愕する沢田綱吉。
彼が目にした光景は、
ミニスカートから露わになった
バジル君の可愛いお尻であった。
「何でパンツはいてないのーっ、」
「え、だって
親方様が
しゃぶしゃぶを食べるときは
このスタイルじゃなきゃいけないって…、」
「また間違った知識信じてるーっ、」
沢田綱吉は思った。
親父、グッジョブと。

というわけで、
バジル少年の初しゃぶしゃぶと
沢田少年の初ノーパンしゃぶしゃぶは
沢田少年の脳内が
パラダイスになって終了しましたとさ。

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